車で30分ほど行った先にはバカでかいマンションがあった。
そこの1階の扉を開けて中に入ると、単身者用マンションであった。
その奥のベッドの上に叔父はいた。
叔父は「おぉ!久しぶりやな。」と母に言うと、「心配しとったんやんか。連絡先も変わってるし!」と言った。
叔父は「もうあと3年くらいで寿命や。最近は病院通いばっかりや。」とボヤいた。
一緒に大阪から来た伯母は「募さん(2番目の兄)は4年前に亡くなったんですよ。」と言うと、「えっ?そうやったんかぁ。」とビックリしていた。
「最後に俊夫さんに会いたがっていましたよ。ほら色々仲があんまり良くなかったから。気にしていたみたい。」と言われて、うんうん、と頷いていた。
とにかく叔父は無精な性格なんだろうな、と言うのは何となく分かった。
自分から連絡したり行動するタイプではなさそうだ。
母と叔父が昔の話をしていた中で分かったのは、母は元々7人兄弟だったらしい。
叔父は7人兄弟の1番上で、母は1番下、歳は12歳くらい離れている様だ。
4人は戦時中に亡くなって、母だけが戦後に日本で産まれたらしい。
私も母は3人兄弟では無かったのは何となく知っていたが、初めて聞いた話しだった。
それから1時間くらいの滞在で、「また来るわ。」と言って叔父の家を出た。
母と大阪の伯母は「やっとスッキリしたわ。ずっと気掛かりやってん。」と2人で喜んでいた。
直美ちゃんも、「わざわざ来てくれてありがとう!今度こそ連絡先無くさない様にするわ。」と笑っていた。
帰りは和歌山駅まで送って貰った。
すると昔の私がわざわざ食べに来たラーメン屋が目の前に見えて来た。
「あっ!あのラーメン屋来たことある!」と言うと、
「そうそう、うちの家から角曲がったらすぐやねん。」と直美ちゃん。
私は何年も前にニアミスしていたのだった(笑)。
おわり。
[1回]